小説家というものは一般的に、職業として特殊なものとして扱われがちです。
そのように特殊に思われる小説家ですが、いったい小説家にとって必要な能力や資格とはどういったものがあるのでしょうか。
考える能力
小説家はアイディアがとても大事な職業なので、考える能力が必要となります。
悩む能力
一般的には悩むのはあまりよくないこととされていますが、小説などの物語を制作する上では重要な能力といえます。
というのも、物語の中のキャラクターが悩むことで、物語は進められていくからです。
人生は選択の連続ですが、小説などの物語の世界も選択の連続です。
小説家自身があまり悩まない性格だと、物語の中のキャラクターもあまり懊悩の多くないものばかりになります。
あまり悩みすぎるのも問題ではありますが、それすらセールスポイントと化すことができるのが創作の世界です。
小説に限らず多くの作品は、世の中に疑問を投げかけるものです。
あまり悩まず楽天的な人は、こうした疑問提起をそもそもおこそうとしないものです。
突き進む能力
物語を執筆する上で、突き進む能力というのも資格として大切です。
長い小説を執筆するときは、プロットという設計図のようなものを作成することが多いのですが、こうしたプロットをまとめたら悩まずにただただ書き進めていく能力が必要となります。
プロットとはあらかじめ物語の構成・進行を作っておいて、後で考えなくていいようにまとめておくものです。
ですのでプロットを作った後で悩むというのは無駄なのです。
悩むのなら、プロットを作る段階で悩み切るのが上手なやり方です。
小説の内容は前向きでも後ろ向きでも構わないのですが、一度内容が決まったらそれに遵守できるというのが小説家の資格として必要なものといえるでしょう。
構成する能力
広げる
基本的に物語は序盤では世界が広げられていくものです。
冒頭では主人公やそれに近しいキャラクター、そして舞台の説明が行われるものですが、それと同時に主人公達に降りかかっている諸問題の提起もなされます。
こうした諸問題は物語の進行と同時に発展し大きくなっていくものです。
これが収縮してしまえば、すぐに物語は終わってしまいます。
たとえばサスペンスやミステリーでは、最初にあるキャラクターが借金という問題を抱えていて、そこから殺人に発展することで犯人として役割を変えるのです。
こうした問題の発展と変化を上手に交えることで、読者を引き込むことができるのです。
まとめる
広げたものを広げたままにしてはいけません。
物語が終わりに近づくにつれ、広げられた問題はまとめられなければなりません。
物語が長くなればなるほど、問題は多くなりがちなので、作者も把握しきれないことがあります。
そうしたものは読者にとっては「あの問題はどうなったんだ?」という疑問としてずっと残ることになります。
こうした違和感が残ると、読者はあまりその作品を好まなくなってしまいます。
うまくまとめられないだけならまだ良いのですが、まとめるのを放棄して未完で終わらせるとなればプロと呼ばれる資格はないも同然でしょう。
連載の場合ですとプロットをあらかじめ全て用意しておくことが難しいこともありますが、なるべく問題の収め方はあらかじめ考えておく方が良いでしょう。
まとめ
○小説家として、悩み考える能力は最重要といえる。
○物語を広げる能力があると読者を引き込むことができる。
○しっかりと書き進めたり問題を解決したりする上で、プロットの作成はとても大事。
小説を書くという行為は、よく文章の能力のみに注目されがちですが、エンターテインメント色の強い作品などは特に物語を作ることの能力が問われます。
どういった問題を取り上げるかなどもセンスが問われるものなので、しっかりと考えるようにしましょう。