小説家は文章を操る人達なので、文章のプロと呼んで差し支えありません。
そうした小説家は、どういった文章をよく書くのでしょうか。
口語と文語
文章はおおまかに口語と文語に分けられます。
口語は話す文章、文語は文章として執筆される文章といえます。
・口語
口語は主にセリフとして執筆されます。
砕けた表現がなされることが多く「~してる」「~だよ」のような言葉遣いは口語とされます。
特徴として、砕けたようなフランクなニュアンスを与えることがあります。
またカッコでくくられているものは多くセリフと認識されます。
小説としてどの程度フォーマルに執筆するつもりかに依拠しますが、基本的には口語が用いられるのはカギカッコとマルカッコのみです。
マルカッコは実際に話している言葉ではなく、登場人物が頭の中で考えている物事という書式になっています。
これ以外のカッコが用いられることもありますが海外文学を翻訳したものにおおよそ限られます。
こうした書式を逸脱したものは、基本的にライトノベルなどに属し、インフォーマルに近いとされます。
・文語
文語は主に地の文として表現されます。
文語の特徴として、口語と違って固くフォーマルな印象を与えます。
たとえばセリフの前後に「○○はこう言った。」などと挿入されていると、誰がそのセリフを喋ったかが一目瞭然です。
こうした口語と文語の違いは日本語の場合は音に依拠するところが大きく、たとえば四字熟語などは音だけではイメージしづらいことが多いので実生活でも口語として使用されにくいものがあります。
弱肉強食や七転八倒のような四字熟語はすぐに漢字が浮かぶものですが、ヨウトウクニクやフワライドウといった四字熟語は文語的で漢字をすぐに思い出しづらいものがあるのです。
セリフと地の文
・セリフ
セリフはご存知のように、誰かが話した言葉を指します。
おおよそ初心者はこのセリフを多用しがちで、セリフによって説明すら行うことがあります。
セリフはあくまで話す文章であり、小説の上では登場人物同士で行われるものです。
作品の特徴、また登場人物の発言などが取り沙汰されやすいので、セリフで表現したがる人は多いものです。
しかしセリフで説明を行うというのはあまり上等ではありません。
物語上の説明をセリフで行うというのは、登場人物にその世界の外にいる読者に語りかけさせるという点で違和感が生じます。
それがまったく許されないということではありませんが、そうした手法を行うとどうしても物語が軟弱になりがちです。
シリアスな作品では避けた方がよろしいでしょう。
・地の文
地の文とは、小説の文章のうちセリフなどに属しないほとんどの文章を指します。
状況説明や心理描写などを地の文で行えます。
この地の文は小説の大半を占めますので重要なのですが、小説を読むだけの人からすればセリフの方が特徴的で印象に残りやすいことがあるので地味に思われがちです。
まとめ
○口語と文章を明確に分けることは大事。
○書式を逸脱したりセリフが多くなったりするとインフォーマルな印象が強くなる。
○地の文は目立たないが小説の大半を占める。
小説において目立つセリフというのは、実際のところ小説家として初心者でも容易に書けるものです。
熟練した小説家ほど地の文を充実させるものなので、しっかりと把握しておきましょう。