近年は映画の原作として、小説のみならず漫画が取り上げられることも少なくありません。
そうした作品を見ていると小説と漫画の違いがあやふやになりますが、小説家と漫画家の違いとはいったいどういったものなのでしょうか。
メディアの違い
根本的な違いとしては、何で表現しているかというメディアの観点があります。
文章と絵の違い
文章と絵の違いは、一目瞭然でしょう。
漫画の隆盛は、文章より絵の方が情報量が多く一瞬で理解できるという点が大きいでしょう。
小説の文字表現はセリフと字の文に分けられますが、漫画では文字表現はセリフと描き文字がほとんどなので、漫画に絵で描かれている部分は小説では地の文で説明せねばなりません。
現在では様々なメディア展開があるために、ノベライズやコミカライズといったものもあります。
こうしたものが正しいのかは、賛否両論あります。
現在では人気が出たものがメディア展開されるので、その作品が本当にどういったメディアで進行するのが良いのかはあまり取り沙汰されません。
物語の構成はあまり違いがない
小説と漫画は、誰でも見れば文章と絵の違いがあると分かるのですが、それ以外のところでは実はあまり違いがないものなのです。
技術の面では、小説も漫画も物語を紡ぐものです。
小説には文学小説とエンターテインメント小説とに分けられるのですが、文学小説は現代ではあまり売れずエンターテインメント小説が主流となっています。
エンターテインメント小説というだけあって読者を楽しませる作品なので、漫画としての読者を楽しませる部分は多く重なるところがあるのです。
ノベライズ・コミカライズ
ノベライズとコミカライズはそれぞれ、小説でないものを小説にする行為、漫画でないものを漫画にする行為を指します。
映画やゲームなどをそれぞれ小説化・漫画化することもありますし、もちろん小説を漫画に、漫画を小説にすることもあります。
こうしたメディア展開は別のメディアで表現することで元々のメディアにはなかった表現を味わえることです。
しかし実際のところは、ノベライズやコミカライズでもあまり人気が出ないことも多々あります。
映画化される場合には費用が大きく経済効果も多いものなのですが、ノベライズやコミカライズではそうでないこともあるのです。
収入
収入も基本的にはどちらも原稿料と印税です。
原稿料は雑誌などに連載する際に掲載した報酬として収入になりますし、印税は単行本として出版した際の部数に合わせて収入として支払われます。
また編集者と打ち合わせをする点なども似ています。
しかし小説はほぼ小説家一人で執筆しますが、漫画家にはアシスタントがいます。
そうして共同作業をする分、マンガ家には人件費がかかってしまうと考えることもできます。
また小説家が漫画を、漫画家が小説を書くことはほぼできないといえますので、いくら似ている面が多いとはいえ技術の違いは大きいのです。
まとめ
○文章と絵の違いは大きいが、それ以外は似ている点も実に多い。
○特に物語を創作するという技術の面では共通する点が多い。
○ノベライズやコミカライズのようなメディア展開は利点もあるが売れないこともある。
小説家と漫画家は一見するとその表現しているものの違いからまったく別の作用をしているように見えます。
しかし昭和以前の小説家の作品ならともかく、現代的なエンターテインメント小説はその深いところではマンガと似ている部分があるものなのです。