一昔前ですと小説とは買うものであり、代金を支払わないと見られないものでした。
現代ではインターネット上で無料で公開されているものが多数存在します。
そういったものが有名になり書籍化されるには、どういった流れがあるのでしょうか。
おおまかな書籍化の流れ
基本的な小説の出版の流れは、出版社からの打診がきっかけとなります。
出版社がその小説家の作品を自分の会社から出版したい、と思ったときに契約を行うのです。
野球のドラフトのようなもので、いくら小説家が希望する出版社があるとしても、その出版社の側から打診がなければその出版社から小説が書籍化されることはありません。
そうした出版社の判断が必要なので、賞を通じて優秀な小説家を発掘することや、タレントなどの知名度がある人物に話が持ち込まれるなど、いくつかのルートが存在することになるのです。
小説家になろう
インターネット上の小説投稿サービス「小説家になろう」でも、基本的には出版社からの打診がきっかけとなります。
実際には運営会社を経由して連絡することになるようです。
運営会社は営利活動を行っているので、このときに運営を経由せずに契約を交わそうとする行為を禁止しています。
またもともとインターネット上で無料で公開されている小説であるという特性上、書籍化する際に有料化する際の差別化をどのように行うか、というのが問題になることがあります。
いくつかの出版社から「小説家になろう」の作品が出版されていますが、こうした問題がさらに顕在化することで、書籍化の流れなどが変化することも考えられます。
インターネットでの小説文化
インターネットが発達するにつれて、おのずと小説がインターネット上で公開されるようになりました。
こうした文化は、「小説家になろう」に限られたものではありません。
公開が容易
「小説家になろう」のような小説投稿サイトは以前にもあり、黎明期のものとして「魔法のiらんど」などが挙げられます。
特にこのサイトに投稿された「恋空」は書籍化・映画化されたものなので、知っている人も多いでしょう。
こうしたサイトはあらかじめ小説を投稿することを想定されているために、実際に小説を投稿することがとても簡単です。
それ以前には、ホームページとして自分のサイトに小説を投稿したり、ブログなどに投稿したりする人も多くいました。
閲覧が容易
そしてインターネットがこれほど発達する以前にも、文章による文化はインターネット上に存在し続けていました。
以前はテキストサイトと呼ばれるものがあり、小説とは趣向が異なるものの文章はずっと廃れずに続いてきました。
それというのも、現在では文章の他に画像や動画といったメディアが存在しますが、そうしたものに比べると文章は容量が少なく表示・閲覧が容易だったのです。
今ほど回線の速度が早くなかった時代には、画像ですら表示をするのが障害になっていた時期があるのです。
こうした視点は、低スペックのパソコンやスマートフォンを利用する人に、いかに手軽に閲覧できるようにするか、という観点で現在でも使われることがあります。
まとめ
○おおむね書籍化は出版社からの打診がきっかけ。
○無料で公開されている小説を出版化する際は差別化をする必要がある。
○黎明期から文章の文化はインターネット上で続いてきた。
活字媒体というものは、若者の活字離れが叫ばれる現代では、たしかに売り上げが落ちてきています。
そんな活字媒体でも、インターネット文化の中では連綿と生き続けているものなのです。