近年、活字媒体は読者数が減っていると下降気味になってはいますが、それでも小説家を目指す人は少なくありません。
そんな中、小説家の資質というものにはいったいどういったものがあるのでしょうか。
表現力が豊か
文章による表現が適切
小説を読んでいるときに誰しも「この表現なんかおかしくないか」と思ったことがあるでしょう。
そういったものは多くは不用意な「ひっかかり」で、読者の気を削ぐものです。
技術として意図的にそうした「ひっかかり」を作ることで読み手の興味を引く手法もありますが、多くはたまたま発生してしまったものです。
些細なことではありますが、こうしたものを減らしていくことは読者に集中を促す上で大切なものです。
また基本的に小説はプロットという設計図を用いて作成しますが、そういった手法ですと既に筋道が決まっているストーリーへ進むために執筆することになります。
この際に気まぐれに書いてしまうと、プロットとは違う方向にストーリーが進んでしまうことがあります。
読者に伝わりやすい
読者が読みやすかったり読者に伝わりやすい文章を書いたりできるのは、一種の資質です。
ときおりひどく読みにくい小説があり、途中で読むのを投げ出してしまうことがあるかと思います。
そういったものは作者の文体と読者の相性が悪いという問題がありますが、単に読みにくい文章というのもあります。
典型的な例では、なんでもかんでも漢字表記されているもので、「とにかく」が「兎に角」などと表記されているものは、古い文体を演出するものだとしても考えものです。
勢いがある
スピーディで勢いのある文章はとても大事です。
よく「山」や「谷」と表現することがありますが、これは山を「盛り上がる箇所」、谷を「落ち着く箇所」として物語にメリハリを付けることを意味します。
安定している
小説家に限らない要素ですが、安定性は資質として除外しにくいものです。
小説家にとって不安定というのは、集中力と質の安定性にかかわるものがあります。
不安定だと継続的な制作が困難
集中力に欠けていると、小説の継続的な制作に支障をきたします。
気分にムラがあるということでもありますが、気分が乗っているときは書けても、その気になれないといつまで経っても書けないのです。
これは資質としてはとても大事なもので、欠けていると致命的とはいわないまでも、かなりつらいものとなってしまうでしょう。
小説家として生活をするのであれば、一作のみ売れれば良いというものではありません。
特に連作や長編になると、打ち切りのように中途半端に終わらされてしまうこともあるでしょう。
こうした安定性はプロとして重要なファクターなのです。
質の不安定さは作家として致命的
また質の安定性は、読者に対して安心感・不信感を与えるきっかけになります。
誰しもお気に入りの小説家がいたりしますが、そんな小説家の作品でもアタリやハズレがあると感じることがあるでしょう。
こうしたものは好みの違いともいえますが、小説家の作品の質が安定していない証左でもあります。
まとめ
○表現力は小説家として不可欠。
○伝わりやすさ、読みやすさが足りないと読者が読むのを放棄する。
○安定性は読者に安心感も与える。
あまり上手でない小説ですと、読み通すのが苦しくなってくるものです。
時には比較をするなどして、どういったものが自分にとって正しい文章なのか考えてみるのも良いでしょう。