小説家の休みの取り方

近年ではサービス残業やブラック企業というものへの世間的な認識が大きくなり、どんな職業でも休みの多寡が心配されています。

そんな中で、小説家はいったいどのようにして休みを取っているのでしょうか。

いつでも時間を取れていつでも働ける

小説家は、おおむね自営業扱いとされます。

一般的なサラリーマンのように会社に所属するのではなく、出版社と作品を契約することで印税などを得て生計を立てています。

個人経営の店舗で、自由に休日を設定できるようなものです。

福利厚生なども自分で行わなければならない分、自分で裁量を決めることができます。

ご存知の通り、小説の世界は実力の世界です。

数年に1作しか小説を発表しなくとも、それで印税を十分に得ることができれば生活するのに困りはしません。

自分で裁量を決められる小説家は、収入と休みの配分も自分で決定できます。

極端にいえば、たった1作でもミリオンセラーの良作を生み出すことができれば、それ以降なにも書かなくてもいいのです。

もちろん仕事とは収入を得るためだけのものではなく、生きがいとしてするものでもありますので、収入のみを目的とせずとも執筆することはできます。

小説家にとって大事なのは締め切りです。

休みは小説家本人が望むままに取って構いませんが、締め切りは守らなくてはいけません。

小説はあくまで出版社の経済的・営利的活動の一端として出版されているものなので、利益を生まなくてはいけません。

潤滑に利益を確保するためにスケジュールが組まれ、小説家には締め切りが設定されています。

なにも小説家の気を急かすために締め切りが設定されるのではなく、小説が本屋にちゃんと並べることができるように調整されているのです。

どういった仕事も信用が大事ですが、小説家もその例にもれません。

小説家にとって最も具体的な信用とは、小説の内容です。

おもしろい作品を生み出すことは当然の責務なのですが、小説のクォリティが極端に変動しないというのも小説家の信用となります。

それと同時に、出版社と契約を行っている個人事業主という扱いである以上、出版社からの信用を裏切るのは致命的なのです。

つまり端的には締め切りを守ることです。

単純に約束を守らない人が信用されないように、締め切りを破り続ける小説かは信用されません。

小説家は本人の裁量でいくらでも休んで構いません。
極端にいえば、出版社が許してくれている間は締め切りを破っても、小説を出版することができるでしょう。

ただ判断を見誤れば契約を続けることができずに、生活が困窮するだけなのです。

○小説家はいつでも自分の裁量で休める。
○締め切りを守ることは、やはり小説家にとって大事。
○信用が失われると出版社との契約が打ち切られてしまう。

小説家は、小説の執筆に生活をかけるかわりに、その内情を見ると自由に見えます。

しかし売れなければ生活できない分、実力がすべてものをいう世界だということなのです。