小説家が作品を書く材料というのは、一般の人や小説家を目指し始めた人には見えにくいものがあります。
いったい小説家はどういったものを材料として、小説を書いているのでしょうか。
自分が得意とする分野
得意なジャンルを見つける
小説を書く際に、ジャンルを定めるのは至極大切な作業です。
ジャンルとは大幅な区分ですから、複数のジャンルが重なっても問題はありません。
ミステリーと恋愛、サスペンスなどが介在するのは珍しくありません。
しかしこうしたジャンル設定を省いて執筆するのは無謀です。
最初のうちは自分が読んだり見たりするのが好きなジャンルで構わないでしょう。
そうした書き方をしているうちに、鑑賞するのは好きでも書くのには見合わないジャンルなどがありますし、逆に今まで興味もなかったけれど自分の書き方と相性の良いジャンルが見つかることもあるかもしれません。
こうしたジャンルには、お決まりの校正やお約束などがありますし、それにあえて歯向かうことも、新しく物語を考える材料になります。
小説家自身が自分に見合ったジャンルを見つけるのには、そう時間はかからないはずです。
得意な書き方を見つける
物語の作り方において、その小説家に合っている書き方が存在することもあります。
ミステリー作家はその典型で、本来は順に明かしていく情報を、敢えて順序を変えることにより謎を残して読者の興味を引いているのです。
他にも小説を書く際には、視点の設定などがもせねばなりません。
これは一般的に一人称・三人称が存在し、一人称は「私は新宿へ行った」というふうに主人公の視点で語られる文章です。
三人称は「彼(もしくは彼女)は新宿へ行った」というふうに他人の視点から語られる文章です。
実際には二人称視点もありますし、三人称には細かい分類がまだあるのですが、基本的に使用されるのはこの二種類です。
一人称視点は初心者にも易しく、情報の管理も主人公が知っていること、見聞きしていることだけを書けばいいものです。
三人称視点は主人公が知らない情報をも叙述できるので、ミステリー作品や読者に見せる情報を選択したい作者向けです。
こうした視点の違いから、どうした物語が向いているかわかるので、それを材料にするのも良いでしょう。
問題を見つける
小説の基本は実生活と同じく、問題の発覚とその問題の解決の繰り返しです。
そうした問題の設定は、小説執筆の上でとても大切な作業です。
問題を解決させる
小説内での最重要な問題を解決するのは、絶対に物語の終盤でなければなりません。
終盤で解決しない、もしくはその問題が解決されることが物語の終焉に繋がるのでない限り、それは小説内での最重要な問題といえません。
この問題を解決させる上で、ほぼ物語のすべての構成をこの問題にのみフォーカスさせるのと、他の諸問題をいくつも登場させて細かく解決させつつ最後に主問題を解決させるという手法があります。
短編でしたら横道になどそれず、主問題にのみフォーカスする手法がスッキリすることがあります。
長編ですと主問題が「主人公たち登場人物の生命」となり、死ぬまで続けることもできます。
問題を解決させない
矛盾した考え方ですが、主問題を解決させない方法もあります。
文学小説では問題を解決させないことで苦悩などを表現することがありますし、主問題が「登場人物の生命」であるときなど解決できるほど問題が容易でない場合があります。
こうした手法を取ることであえて登場人物の能力の限界や、人間という存在の限界を表現することができます。
まとめ
○自分の得意なジャンル・書き方を極める。
○視点を変えて、解決すべき問題の設定に注目する。
○あえて問題を解決させない方法もある。
とても単純なところでは、グッドエンディングとバッドエンディングをどちらにするかという結末から考える手法などもあります。
いずれにせよ小説の構成を考える際は、様々な面から考えるようにしましょう。